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sakiblog

双極性障害Ⅱ型。只今リハビリ出勤中。まずはカテゴリから「双極性障害と診断されるまで」を読まれることをおすすめします。

カツヤから飲みの誘いがきた。どのみち一人で外食するつもりであったし、断らなかった。明日は朝から予定がある、と言うと、彼は早く帰って寝ろと言った。そうするには惜しい時間だったので、久しぶりに二人でバーに行った。
そのバーには、最近入ったアルバイトの子がいて、普段お二人はどう呼びあってるんですか、と妙な質問をされた。あたしたちは顔を見合せ、名前は呼ばないね、と頷いた。実際、おい、とか、うん、とかで事足りている。酔って口が悪くなると、あたしはお前なんていう言い方をしてしまうし、それで何も気にならないのだった。
カツヤはスマートフォンの画面を隠そうともしなかったので、あたしと飲みながら、二人の女の子と連絡を取っていることが知れた。何してるの、という質問に対し、バーにいる、という返答。なるほど、嘘は吐いていない。
あたしが今夜は相手をできないから、その内のどちらかと都合がつくまで待ってやろう、と思い、グラスが空になってもしばらくそのままでいた。二人で背もたれに身を預け、紫煙を吐き、白い天井を眺めた。一軒目の居酒屋で、愚痴はあらかた終わっていたので、特に話すことはなかった。
結局、都合がつかなかったのだろう。カツヤは家に帰ると言った。あたしも翌日は早起きなので、大人しく終電に乗ることにした。金曜日の繁華街、救急車のランプが灯り、歩道には薄着の女性たちが溢れていた。あたしは彼の華奢な手を握った。その体温で、相当彼が疲れていることがわかった。
別れ際、やっぱり女の子のところへ行く、とカツヤは言った。それが本当かどうかは知らない。あたしの代わりに、彼の身体を癒してくれる子がいるのなら、それで良いだろうと考える。そういう自分に驚く。いつからか、彼を独占したいというよりも、彼の幸福を想うようになっていて、今はただ彼の体力だけが心配である。