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sakiblog

双極性障害Ⅱ型。只今リハビリ出勤中。まずはカテゴリから「双極性障害と診断されるまで」を読まれることをおすすめします。

あたしは人に、出会いに恵まれている。二十代後半になってから、それを実感することが多々ある。必要なときに、必要な人と知り合うことができ、それで気分が高揚したり、落ち込んだりする。最近仲良くなった研究者の男性も、その中の一人だ。
文系・理系を選択するとき、ほとんどの人が、どちらかが苦手だからもう片方を選ぶのだと思う。あたしは法学部だけれど、それは計算が苦手だったからで、決してそちらが好きだったわけではない。けれど彼は違って、苦手な教科は作りたくないとまんべんなく勉強した結果、最も好きな方向に進んだのだという。就職か研究かの岐路に立ったときも、内定を得つつ後者を選んだという。そういう生き方をしている人は、あたしの知る限り、滅多にいない。日本酒を酌み交わしながら、ああ、彼は本当に凄い、凄いという陳腐な形容詞では収まらないくらい、凄い人なのだ――そう、思った。
車窓に映る丸顔を眺める。消去法だけで生きてきた、そんな大多数の顔。金のため、安定のため仕事を選んだあたしの選択は、それでも間違っているとは言えない。それもれっきとした理由、選ぶ条件。好きなものに生きる人の方が珍しいのだ。多大な努力を必要とするから。
今夜食べた刺身は、見た目も可愛かったし、ゆっくり酒を楽しむには丁度いい量だった、と思い返す。あの店なら一人でも楽しめるし、また行きたいと強く思える。本当に連れていきたいのは、また別の男性だけれど、彼は今日も他の女の子と一緒にいるのだろう。相手にされないことをぼやきながら、きちんと終電で帰る。惚れた弱味だ、なんて呟きながら。