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sakiblog

双極性障害Ⅱ型。只今リハビリ出勤中。まずはカテゴリから「双極性障害と診断されるまで」を読まれることをおすすめします。

彼に会いたいと言ったことは一度もない。彼に会いたいと言われたこともない。その代わりに発するのは、明日は会社の飲み会だとか、もうすぐ駅につくとか、自分の状況を知らせる言葉。もしくは、食べ物の名詞。「ラーメン」の一言で集合することは、よくある。
同業者だから、仕事の細かい愚痴を話すことがある。けれど、心底参っている事柄に関して、それを具体的に言うことはない。一体なぜやさぐれているのか、すさんでいるのか、お互いにその理由は知らない。知らなくても、慰め合うことはできるから、それで充分なのだろう。
あたしが毒を吐くのは、彼ではなくナオトに対してで、恋人との別れや会社のしがらみまで、ナオトは全て知っている。本人曰く、知りたいのだという。女の悩みなんて、激情的でしょうもないものなのに、なぜ詳しく聞きたいのか、理解に苦しむときがある。喋りすぎた後は、ナオトに対して申し訳ないと思い、何か対価を渡さないといけないような気分になる。じゃあ今度奢ってよ、と返されるのだが、あたしの思う対価は多分そういうものじゃない。カウンセラーだって報酬を得ているのだから、そのようなもの、つまりは現金を支払いたくなってしまう。奢るのとどこが違うのだ、と言われても説明できない。
ナオトには悪いけど、そんな息苦しさがあるせいで、連絡をしなくなってしまった。対話をしない彼の方とは、朝眠いとか、上司がめんどいとか、下らない会話をしつつ、次に会える機会を伺っている。