sakiblog

双極性障害Ⅱ型。只今リハビリ出勤中。まずはカテゴリから「双極性障害と診断されるまで」を読まれることをおすすめします。

 金曜の夜。曇天の都内。乗り気ではない飲み会。それでもきちんと出席して、写真役まで買って出てしまったのだから、あたしという人間はよくわからない。
 今回は、立食形式のカラオケパーティーみたいなもので、かなり盛り上がった。人数も多かったし、結婚式の二次会並みのクオリティだったと思う。主催者のことは嫌いなのだが、さすがに今回ばかりは感謝せずにいられなかった。
 あたしたちの世代はカラオケに慣れている。よって歌が上手い奴が多い。あたしはそれを時々動画に収め、隅の椅子に座って皆が騒ぐのを眺めていた。
 いつからだろう?他人が楽しんでいる姿を見る方が、自分が楽しむより好きになったのは。あたしはそこまで歳をとっていないはずなのに。
 カツヤがタバコに火をつけたままフロアに立っていたので、あたしは無言で灰皿を差し出した。彼が灰を落とした後、そのタバコを奪って一口吸った。なぜか吸い慣れた味がした。あたしが机に置きっぱなしにしていたセブンスターを拝借しやがったらしい。それから、彼があたしの隣に座り、二人で一本のタバコを吸い、同じグラスで白ワインを飲んだ。皆がアップチューンで盛り上がっている間の僅かな時間だったが、あの時のあたしたちはどう見えていたんだろう。
 終わって店を出た後、ガードレールにもたれかかっていると、主催者が隣に来た。疲れた、と言うので、お疲れ、ありがとうと声をかけた。こいつのことは好きにはなれない。だけど、悔しいんだけど、その能力は認めるしかない。だから礼を言った。
 あたしは大人しく帰った。明日も予定が詰まっている。写真役をしていたので、さほど酒は飲んでいなくて、本当はもう一軒行きたかった。でも、人恋しくはなかった。PCに撮影したデータをコピーし、風呂に入った。
 ベッドで寝転んでいると、カツヤからしょうもないメールがきて、そのままの流れであたしは彼に電話した。彼はアキラの家にいて、あたしは電話越しにアキラへちょっかいをかけた。アキラは少し、いやかなり変わっていて、凶器のような目で虚空を睨んでいるようなことがある。でも良い奴。
 アキラが眠くなったので、カツヤは家を追い出された。そしてカツヤは、自分の部屋から電話をかけてきた。最近サキちゃんよそよそしい、と文句を言われたので、そんなことないよ、と返した。実際、あたしはよそよそしいというより、意識的に他の男の子たちと話すようにしていた。それは彼の方も同じはずだった。

「LINEにサキちゃんと男の2ショット写真が上がってるんやけど」
「ああ、頼まれて撮った気がする」
「俺とは撮ってくれんかったのに」
「そっちも女の子と撮ってたやん」
「撮ってないもん」
「ふーちゃん、まりりん、佐々木さん」
「撮ってないもん」
「まりりんの時はあたしがシャッター押した」
「あー」

 そのような話を延々繰り返していると、日付が変わっていた。カツヤはあたしが他の男に構うから嫉妬していると何度も言った。あたしの彼氏さんは「他の男」に含まれていないらしい。
 だいたい、彼も分かっているのだ。出会って間もない頃、サクとカツヤの容姿が似ていることを話したのだから。自分が都合のいい男だということくらい、彼は分かっている。

「一人で寝るの寂しい」
「メグミ呼んだらええやん。それかカズミ」
「やだ。誰でもよくない」

 そういえばあたしは、カツヤの恋愛遍歴を、最後の彼女は自分から振った、くらいしか知らなかった。今まで何人と付き合ったのか、何人と寝たのか、そんな話はしていない。なぜ聞かなかったんだろう、と考えてみたが、単に興味がないだけだということで瞬時に落ち着いた。