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sakiblog

双極性障害Ⅱ型。只今リハビリ出勤中。まずはカテゴリから「双極性障害と診断されるまで」を読まれることをおすすめします。

 汗だくで部屋に戻り、ベッドに突っ伏し、思い直して良かったと息を吐いた。そして、どうしてこんなことをしたんだろう、と思って落ち込んだので、フミヤに電話した。

「どうしたの?」
「いや、特に用事はないねんけど」
「そうなんだ」
「さっきアホなことしかけてさ、ヤバかってん」
「内容聞いて欲しい感じ?」
「ううん、君の声が聞けたからそれでええ」
「あはは、何それ」

 のんびりした関東弁が、知り合った当初はあんなに気持ち悪かったのに、この時のあたしはそれに助けられていた。良い奴だ。フミヤ本当に良い奴。
 転職して、同期がわんさかできたあたしは、少しでも不安になると、こうして電話をかける悪癖ができた。フミヤに電話をしやすいのは、いくつか貸しがあるから。むしろ、こうして頼らせてもらうために、貸しを作っておいたといってもいい。
 フミヤは鈍くさくて天然気質だが、とんでもなく高い学歴と能力を持つ男の子だ。彼を嫌う人もいるが、あたしは滅茶苦茶に好いていた。聞いているだけで癒される声というのは、本当に存在する。
 あたしのやりかけた「アホなこと」を、言うつもりはない。誰に言っても怒られるだろうから。