sakiblog

双極性障害Ⅱ型。只今リハビリ出勤中。まずはカテゴリから「双極性障害と診断されるまで」を読まれることをおすすめします。

「メグミは自分の顔に自覚を持たなきゃいけないんだよ!」

 カシスオレンジを飲みながら、ナオミがそう言った。メグミが押しに負けて、彼氏以外の男と二人きりで会っているとき、外野の女三人組で飲んでいたのだった。ナオミは続けた。

「メグミは可愛くて、スタイルもよくて、人懐っこくてモテるのに、その自覚がない」

 ナオミとメグミはいつも二人でいるのだが、実のところ、ナオミがコンプレックスを感じていたのだということが少し知れた。最近彼氏と別れたことで、それに拍車がかかっているのだろう。そしてLINEの既読はつかない。やはりお持ち帰りされるのか。

「メグミの目力って凄いよね。すっごく羨ましい」

 カズミも引け目を感じているようだったが、あたしから見れば、それぞれに魅力がある可愛らしい女の子である。それを言っても仕方がないし、机の上が寂しくなってきたので、あたしはメンチカツを注文した。
 マンゴーサワーがメニューの写真と違いすぎる、とカズミは文句を言った。彼女はどうもスキンシップ癖があり、得意ではないのだが、何とか慣れようとしている。実は彼女も、また別の男に誘われていた。フリーなので問題はない。しかし、彼女はあたしの名前を出して、三人でなら行くよと言ったらしい。

「サキちゃんとご飯食べたかったんだもん」

 嬉しい一言。しかし、誘いを蹴られた男からは逆恨みされている気がする。メグミもこのくらいあっさりと断ることができたなら。
 あたしは自分の話をすることが苦手だ。それでもある程度は、恋愛経験を晒す必要があるわけで、お付き合いをした男性の人数を正しく答えた。すると、サキちゃんにモテの秘訣を教えてもらおうということになった。面倒だったので強引に話を逸らした。

「ところでメグミの終電は何時?」

 あたしたちは、メグミがどこへ行ったのか知っていた。ナオミがiPhoneを操作した。金曜の夜、都内の駅は混み合う。調べた時間より、二本ほど前を目指して行かないと、確実に帰れない。
 あたしとしては、メグミが押し倒されても、押し倒されなくても、どちらでも良かった。相手の男のことは、もっとどうでも良かった。ただ、あたしが男なら、もっと上手く事を運ぶのに、などと考えていた。どうも今回の誘い方は下手くそだと思ったのだ。
 実際、メグミはきちんと帰ってきた。
 必死の思いでタクシーに乗ったというメグミ。やはりというか何というか、男は執拗に粘ったらしいが、彼女はそれを振り切った。すげえ、あたしなら多分無理、という本音は隠す。みんなの姉貴分であるサキちゃんがそんなこと言えない。

「ご心配をおかけしました」

 謝るメグミ。よく帰ってきたと褒める皆の衆。何があったか聞けば聞くほど、男の必死さが伝わってきて、あたしは腹を抱えたかった。なんかもう、そこまでいくと、正直に言った方が良かったんじゃないか?一回でいいからヤらせて下さいって。
 メグミは少し落ち込んでいた。自分がいわゆる「軽い女」「ヤれる女」だと思われていたことに。それについてはフォローしきれないし、落ち度があるからこういうことになったと思うのだが、これを機に少しは何か変わるだろう。