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双極性障害Ⅱ型。只今リハビリ出勤中。まずはカテゴリから「双極性障害と診断されるまで」を読まれることをおすすめします。

 同期と夜にマクドナルドへ行こうとしたら、昔の男から着信があったことに気づいた。「マクド行くから後で連絡する」とメールして、あたしはベーコンレタスバーガーを食べた。
 帰ってから電話すると、「こっちではマックじゃ」と言われた。あたしはてっきり、日本列島の西側はマクド呼びだと思いこんでいたので、近畿民の浅はかさを感じた。この世界はきっぱりと二つに分かれてはいない。
 特に用事はなかった。電話をするということが用事だった。彼からクミコの近況を知らされた。大学時代の知り合いが、グーグルで検索すると一番に出てくるというのは、なんとも不思議な気分だった。
 あたしが仕事に対しての不安を漏らすと、社会人四年目の立場から激励してくれた。こんなに真面目な話ができる男だっただろうか、と失礼なことを思いながら、彼の言葉を有り難く受け取った。たった数分間の会話で、矜持というものは取り戻せるらしい。
 それから、二人で行った最初で最後の旅行のことを話した。彼が出発の時刻に遅れてきたこと。旅館の給仕の青年が、新人なのか物凄く緊張していたこと。茶碗蒸し。射的で取った変な人形はあたしがまだ持っている。思いのほか、細かいところまであたしたちは覚えていた。本当に楽しい旅行だった。旅行というのは、こういう風に思い返すためにするのかもしれない。
 なぜ彼が連絡をよこしてきたのか、そんな説明は受けなかったが、なんとなく予想がついた。二十代の後半に差し掛かると、社会通念とか、一般常識とか、そういったものの大切さが分かってくる。当人たちの感情だけではどうにもならないことが出てくる。そういうことだと思う。
 あんなに適当に付き合って、あんなに酷い別れ方をしたのに、こんな話ができるのは凄いという風に話した。誰かに言っても、この関係を解ってもらえる気はしない。けれども、この世界には沢山の人たちがいるから、同じような関係はいくらでもあると思う。