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双極性障害Ⅱ型。只今リハビリ出勤中。まずはカテゴリから「双極性障害と診断されるまで」を読まれることをおすすめします。

 会社ではメガネをかけて前髪を上げているから、土日に会うとけっこう印象が違う。加えてヒゲも伸びているから、まともな勤め人というより、まだ大学生のようだ。この前買ったばかりだという、もこもこのパーカーを羽織った彼は、30手前にはあまり見えない。こういう系統の男性は、50や60になったときどういう顔になるのだろう。
 彼はイヌが好きだが、死んだときが悲しいから、飼わないのだと言う。何か飼ったことはないのと聞くと、金魚とインコ、と答えた。あたしもインコを飼ってた、あいつら呼んだら来るからさ、辛いよね、なんて話して。そして、近所のノラネコを適当に相手している方がいい、とあたしは呟いた。毎日世話をするわけではないけど、死に目にあうわけでもないから。
 けれど、エサをやりすぎたら、情は移る。愛情しかなくなる。本気で互いを労って心配して、馬鹿みたいなやり取りを続ける。
 指に残った匂いは洗い落とすまで消えない。明日から仕事だとため息をつく電車の中。他人を羨んで、格下を眺めて安堵する。金曜日にやり残した作業を思い出してうんざりする。
 あたしを腕に抱くとき、彼は幼子をあやすように、背中をポン、ポンと叩く。その振動と体温で、すぐに眠くなってしまう。何か言いかけて、野暮だと思い直して、口をつぐむ。