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sakiblog

双極性障害Ⅱ型。只今リハビリ出勤中。まずはカテゴリから「双極性障害と診断されるまで」を読まれることをおすすめします。

 一人で買い物をしている時に電話してくるなんて、ケイみたいだなとあたしは思った。店員からすれば、これは非常に迷惑だろう。あの時のケイは確か22歳くらいだったけど、30歳目前のコウさんがそんなことをするなんて、なんだか可笑しかった。
 母親と二人暮らしをしていたコウさんだったが、最近一人になったのだと言う。冗談で、空いた部屋にあたしが住むなんて言ってみた。実家からも会社からも遠いらしいからやめた。
コウさんのことは、実はよく知らない。今年の4月に知り合ったのだけど、家庭環境がなんだか複雑そうで、深入りすることを避けたのだ。でも、表面上は彼になついた。その理由は自分でもよくわからない。
 女性関係のことも、今まで聞いたことがなかったのだけど、彼女とはどうなん、と言うと、別れて違う人と付き合いたいなんていう返事がきた。感情の起伏が激しすぎて、生涯を共にする気にはなれないらしい。その彼女の気持ちは、同じメンヘラ気質を持つ者としてよくわかる。彼女の不可解な行動について、あたしは詳しく解説した。彼は非常に感心していた。
 ふと、コウさんに自分のことも相談してみようかという気になった。彼は買い物を終えて、帰路についていた。そのとき、彼に別の電話が入ってしまったようで、それは叶わなかった。電話の相手は、あたしも少し知っている男性だ。気分障害を持つ不安定な子。なるほど、コウさんはメンヘラに好かれるタイプかもしれない、と思った。このあたしがなついた理由も、まさにそうなのかもしれない。
 会話を終えてベッドに寝転びながら、もしあのまま相談していたらどうなっただろう、とシミュレーションした。コウさん、あたし君もよく知る子に手をつけて、離せなくなっちゃったんだよね、と。彼のことだから、大真面目に聞いてくれて、たっぷりの正論を述べてくれるのだろう。サキちゃん、それはいけないよ。周りの人達の気持ち、考えたことある?という風に。
 きっと、このことを話せば、あたしは幾分か気が楽になるのだろう。しかし、コウさんにかかる負担はその何倍にもなるだろう。もしかしたら、彼に連絡を取るかもしれない。それは不味い。コウさんと彼は、互いの本心まで探るような仲ではない。
やっぱり言わなくて正解なのだろう、ということで落ち着いた。自分で背負った物は、自分で始末しなくちゃね。