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双極性障害Ⅱ型。只今リハビリ出勤中。まずはカテゴリから「双極性障害と診断されるまで」を読まれることをおすすめします。

 他の四人が心霊現象の話で盛り上がっている間、あたしはこの宅飲みの家主と異性の匂いについて語り合っていた。夜中の二時頃だった。彼には、日常生活を共に送れる仲の女の子がいるが、匂いが合わないので性的な関係にならないらしい。傍目には付き合っているように見えるので、あまりこの関係を理解してもらえない、と残念そうにしていた。あたしは恋人の匂いが大好きで、隙あらば嗅いでいるので、匂いの大切さはよくわかる。彼らの関係についても、なんとなくわかる気がする。
 部屋には空のビール瓶が山ほどあった。外国産のビールを飲み比べる、というのが今回の趣旨だった。ユキちゃんの要望で、女性ボーカルのデスメタルバンドの曲が流れていて、あたしたちにとっては心地の良い空間ができあがっていた。そういえば、皆当然のように楽器が弾ける。三時頃になり、花火をしたいと誰かが言い出し、あたしたちはコンビニへ向かうことにした。
 大阪の夜は生ぬるい。ファミリーマートにはもう花火は売っていなくて、あたしたちは何も買わずに帰宅することになった。こうして夜道をうろついていると、大学生の時に戻ったようだとあたしは感じていた。月に一度は、誰かの部屋で飲み、夜中の買い出しに出かけていたから。あたしはいつかの遠い夜を思い出していた。あれは素敵な夜だった。
 帰宅してすぐに、あたしは家主のベッドに寝転がった。皆が片付けをしている音が聞こえていたが、手伝う気になれなかった。家主はこいつ、寝やがったと悪態をついていたが、ヤノくんが姐さんは料理してくれてたから、とフォローを入れてくれた。料理といっても、味付けされたスーパーの肉を焼いただけなんだが。ともかく、序盤で働いていたお陰で、最初に意識を手放すことを許されたのだった。