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双極性障害Ⅱ型。只今リハビリ出勤中。まずはカテゴリから「双極性障害と診断されるまで」を読まれることをおすすめします。

 生理が一週間遅れたので、妊娠したかと思いかなり焦った。ここ数年、予定日きっちりに来ていたし、情けないことだが、心当たりもあったのである。万が一のため、サクにもその事実を告げ、十日遅れたら検査薬を使ってみる、と話しておいた。そんな重苦しい話をした翌日の夕方にやってきたものだから、杞憂、とりこし苦労、心配しすぎとあたしは笑った。結果が出たからこそ笑い話なのであって、けっこう、深刻なことなのだけれども。
 もし妊娠していれば、当然堕ろす気でいた。あたしも相手も非正規雇用で実家暮らし。金がないし自立もしていない。妊娠を機に結婚を迫るなんていう、幼馴染のような浅ましい真似もしたくない。あたしは手順を踏みたい人間なのだ。なので、中絶の費用を調べていたのだが、途中から出産費用の項目に目がいっていた。一時金の金額とか、自治体の補助金とか。そういったものを見ている自分に気づき、心底ぞっとした。これで本当に妊娠していたら、母性というやつで周りを押し切っていたのだろうか。それを思うと、女であることがとても怖くなった。
 ちゃんときたよ、と報告した後に、もしあたしが産みたいだなんて言ったらどうする?と意地悪な質問をした。サクは慎重に言葉を選びながら、俺には多分止められない、というようなことを説明してくれた。普段は軽口を叩きあう仲だが、こういうときの彼は、不祥事を起こした政治家のように話す。それを聞いてあたしは、頑張って止めなよ、もしそうなったら、君は四十年稼働のATMとして活力を奪われ、自分の夢も希望も投げ捨てるのだから、と言っておいた。彼は悲しそうにしていたが、ひねくれ者のあたしは、こういうセリフでしか感情を吐露できなかった。