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双極性障害Ⅱ型。只今リハビリ出勤中。まずはカテゴリから「双極性障害と診断されるまで」を読まれることをおすすめします。

 千万ドルの夜景も、見慣れてしまえばどうということはない。仕事帰りに歩いて寄れる場所となれば、有り難みはさらに薄れる。その日だって、もののついでに立ち寄っただけであった。サクはおもむろに昔の女の子の話を始めた。奈良の子だったから、連れて行った時はけっこう喜んでくれてね、と。彼は面接の帰りで、スーツにトレンチコートを着ていた。社畜の友人は、それは囚人服だと言っていたけれど、あたしは単純にスーツ姿の男性が好きだ。私服でもシャツを着てくれると嬉しい。ただの好み。
 クリスマスのイルミネーションを見ながら軽く一周して、観覧車のところで立ち止まった。この場所へは何度も来ているが、観覧車には乗ったことがなかった。それをサクに告げると、俺が乗りたいから行こう、と手を差し出してきた。ここ二ヶ月で、彼はあたしの扱いを熟知したようだった。あたしは自分から、こういうことを言えない性格だ。デートスポットでの観覧車なんて、乙女趣味にもほどがある。乗車料は700円だった。並んで座り、鉄骨がスクロールしていく様子をぼんやりと眺めた。小さくなる港の光も、まあ想像通りの綺麗さだと思った。途中からメガネを外してしまったので、頂上の景色は余りよく見ていない。